自閉症と感覚統合障害(SPD)

以前、全てのヒトの行動には理由があるとして、行動分析のABCのお話をしました。BはBehavioir(行動)で、その前後にあるのがAのAntecedents(先立つ事情)とCのConsequence(結果)です。

自閉症者の困った(奇異な)行動の引き金になるA(先立つ事情)の部分で最もありがちなのが感覚統合障害(Sensory Processing Disorder : SPD)です。今日はこの感覚統合障害についてご説明したいとおもいます。

感覚統合障害とは、外界から五感を通じて入ってきた情報の電気信号が脊髄から脳に送られ処理される過程で問題が生じるもので、脳のフィルターを通り抜ける情報量が多すぎる場合と、脳に到達する情報量が少なすぎる場合があります。情報量が多すぎれば脳はハイパーになり、混乱したり集中力を欠いたりし、少なすぎるとぼんやりしたり即座に対応できなかったりして、事故や怪我のもとになりかねません。それぞれの特徴や見分け方は以下のとおりです。

感覚過敏~情報量過多の場合

  • 皮膚接触(服や他人の肌が触れること)に異常に敏感
  • 他人との距離が異常に近い
  • 臭いに異常に敏感
  • 周囲の人が気にしないような音が気になり集中できない
  • 定点でくるくる回ったり、ぐるぐる走り回ったりといった空間や平行感覚認識に関する刺激に長時間耐えることが出来る

感覚鈍磨~情報量過少の場合

  • 皮膚接触に鈍感で、軽く触れられるよりも圧力のかかった接触を好む
  • 聴覚刺激に鈍感 (例)名前を呼ばれても反応しない
  • 刺激への反応が鈍く、だらだら怠けていたり疲れているように見られがち
  • 自分の声量の調節が出来ず、大声で話す
  • 自分の体の空間(位置)認識力が低く、不器用で物の整理が難しい

感覚統合障害のサイン

  • 列に並ぶのが難しい
  • サークルタイムで床に寝転がる
  • 物や人を異常に強く抱きしめる
  • 肌に人(物)が触れることに敏感に反応する
  • 口腔内が過敏で、舌触りの気に入らないものに過剰に反応する
  • 服の繊維や縫い目、触り心地や長さ、締め付け具合などに敏感で服選びが困難
  • 服のタグを嫌がる
  • 不器用
  • パーティー会場や食堂(レストラン)で癇癪を起こす
  • 滑り台や、高いところを異常に怖がる
  • 爪先立って歩く
  • 気が散りやすい
  • 名前を呼ばれても反応しない(聴覚情報のプロセスが遅い)
  • 大声で話す

感覚統合の問題は、障害を持たない人には理解が難しいかもしれません。首に麻紐を巻いてチクチクする状態や、紙やすりが肌に触る感覚、風邪で関節が痛んだり超敏感になっている状態、黒板を爪で引っかいたような音などを想像していただくと、感覚統合障害を持つ人たちがどれほど生き辛い毎日を送っているか、少しは理解していただけるかと思います。

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